社史とは?意味・記念誌や周年史との違い・作り方を解説
会社から「社史を作るから担当してほしい」と言われても、そもそも何を指す言葉なのか分からず、戸惑いますよね。
社史とは、会社の歴史をまとめた記録のことで、記念誌や周年史は近い意味で使われる言葉です。
本記事では、意味や呼び方の違い、目的、形式、制作の流れ、他社の社史の探し方を解説します。
目次
社史とは?会社の歴史をまとめた記録のこと

社史とは、その会社の歴史、またはそれを記したものを指す言葉です。
「社史を作る」と言うときは、後者の歴史を記した冊子や書籍を思い浮かべると分かりやすくなります。
辞書は社史をどう説明しているか
デジタル大辞泉の語釈は「その会社の歴史。
また、それを記したもの」、精選版 日本国語大辞典は「会社の歴史。
また、それを記したもの」です。
日本大百科全書は「会社が自らの責任において発行しているその会社の歴史書」と、歴史書の側に寄せた語釈です。
辞書によって歴史そのものを指すか歴史書を指すかは分かれますが、どちらも会社の歴史に関わる記録を指しています。
出典:コトバンク「社史」(デジタル大辞泉/精選版 日本国語大辞典/日本大百科全書の各解説欄)
社史のほかに経済団体史も調べ方の対象になる
国立国会図書館は、調べ方の案内で社史を「企業が自身の歴史についてまとめたもの」とし、そのうえで業界団体などの経済団体史までを調べ方の対象にしています。
出典:国立国会図書館 リサーチ・ナビ「社史について調べる」(ページ冒頭の説明)
社史・記念誌・周年史・年史は何が違う?

似た名前が並ぶと、どれを作ればよいのか迷うところです。
年史・社史・記念誌の呼び方はこう分かれる
共同印刷は、年史・社史・記念誌を次のように整理し、明確な業界基準はないとしています。
- 年史:組合や業界団体、学校など、企業以外の歴史をまとめたもの
- 社史:企業の歴史をまとめ、創業から現在までの沿革を記録したもの
- 記念誌:周年イベントの模様や社員の声を中心にした冊子
出典:共同印刷 HintClip「新任担当者のための、年史・社史・記念誌の作り方入門【前編】」(年史? 社史? 記念誌? 呼び方の違いの節)
呼び方は、何を中心に載せるかで選ぶ
基準がない以上、自社の本で何を中心に載せるかを先に決めると、呼び名は選びやすくなります。
沿革を軸にするなら社史、周年行事の模様や社員の声が中心なら記念誌と名づけるのが、内容と名前をずらさないコツです。
周年史や記念誌という呼び名もあり、共同印刷はこれらを総称して社史として扱っています。
社内で呼び名が割れたときは、載せる中身を先に決め直してください。
社史は何のために作る?目的は3つに整理できる

「なぜ社史を作るのか」と聞かれたときの答えは、目的の整理から作れます。
共同印刷は、社史制作の目的を次の3つに整理しています。
創業精神や理念を社員に伝える
1つ目は、創業の精神や理念、培ってきた文化を社員に伝えて共有することです。
組織の一員としての誇りや帰属意識といった「内面の軸」を育てるねらいがあります。
活動の記録を知的資産として残す
2つ目は、事業の活動記録やノウハウを体系立てて整理し、知的資産として未来へ引き継ぐことです。
歴史を物語にして共感を生む
3つ目は、歴史を事実の羅列で終わらせず、成長の歩みを「物語」として語り継ぐことです。
共同印刷は、これによって社員のエンゲージメントが高まるとしています。
出典:共同印刷 HintClip「新任担当者のための、年史・社史・記念誌の作り方入門【前編】」(社史制作における3つの目的の節)
社史の形式と発行時期は?紙とデジタルの違い

社史の形は冊子に限らず、Webという選択肢もあります。
形式や媒体に決まったものはなく、デジタル化で幅が広がってきたのが現状です。
紙の社史(上製本・並製本・冊子)
紙の社史には、上製本、並製本、冊子があります。
上製本は、厚く堅い表紙で本文を包み込む製本で、いわゆるハードカバーです。
並製本はソフトカバーとも呼ばれます。
表紙の堅さで見た目の重みが変わるため、保存用に残したいのか、手に取りやすさを優先するのかを先に決めておくと迷いません。
デジタルの社史(Webサイト・動画・音声)
デジタルの社史の公開先は、Webサイトやデジタルコンテンツです。
検索性や拡張性に優れ、音声や動画も掲載できるため、外部への発信に向いた形式です。
紙とデジタルを併用する会社もあります。
発行は周年の前後に出すことが多い
周年を機に記念事業の一環として発行する場合、出す時期として多いのは創立記念日の当日やその前後です。
周年式典の内容を載せるために、半年〜1年遅れて発行するケースもあります。
発行日を周年に合わせるなら、制作期間を差し引いた開始時期を先に決める必要があります。
出典:共同印刷 HintClip「新任担当者のための、年史・社史・記念誌の作り方入門【前編】」(社史の形式と媒体の節・発行時期の節)
社史とは別に、経営者の考えを本にまとめる方法もある?
社史は、会社の記録を残すための本です。
一方、経営者本人が自分の考えや経験を語り、書籍にまとめる企業出版やインタビュー出版は、目的が別の本になります。
どちらが合うかの分かれ目は、会社の記録を残したいのか、経営者の考えを伝えたいのかです。
後者に関心がある場合は、次の記事で仕組みや流れを確認できます。
「話すだけで書籍が完成する」出版支援の詳細はこちらをご覧ください。
社史の作り方は?制作会社に依頼する場合の流れ

制作会社に依頼する場合の流れと期間を、東洋経済新報社が公開している内容を例に紹介します。
他の制作会社も同じ流れとは限りませんが、依頼前に何を整理しておくかを考える手がかりになります。
問い合わせから制作開始まで
最初は、問い合わせと制作意図のヒアリングです。
ここで何のために作るのかを聞かれるため、目的を先に言葉にしておくと相談が進みます。
そのあとに見積もりと企画書の提案を受け、制作開始という順番です。
取材・執筆から納品まで
制作開始後の順番は、取材と執筆、確認、印刷です。
資料の収集と整理は、取材や執筆と並行して進めます。
- 取材の日程調整
- 資料の収集・整理をしながら、取材・撮影と原稿執筆
- 原稿・レイアウト・写真の確認
- 印刷と納品
制作期間は社史の種類(正史とコンパクト社史)で違う
この例では、箱入りの重厚な社史を「正史」、読みやすい雑誌風の社史を「コンパクト社史」と呼び分けています。
制作期間の目安は、正史が一般に1年半〜2年ほど、コンパクト社史が半年〜1年です。
正史は4〜5年かかるケースもあります。
社史の制作期間を一律には言えないため、どの種類を作るかを決めてから日程を組みます。
出典:東洋経済新報社 カスタム出版「社史」(担当者が知っておきたいポイント:制作の流れ・費用と制作期間の節)
他社の社史を読むには?国会図書館と川崎図書館の使い方

同業他社の社史は、自社の目的や形式を決める手がかりになります。
探す入口として使いやすいのは、検索で調べられる国立国会図書館と、社史のコレクションを公開している神奈川県立川崎図書館です。
国立国会図書館サーチと所蔵目録で探す
国立国会図書館が所蔵する社史や経済団体史は、国立国会図書館サーチで調べられます。
『国立国会図書館所蔵社史・経済団体史目録』は、昭和60(1985)年8月までに収集・整理した社史・経済団体史の目録です。
目録に載っているのは1985年8月までに収集・整理した分だと押さえておくと、探す範囲を絞り込めます。
出典:国立国会図書館 リサーチ・ナビ「社史について調べる」(国立国会図書館サーチ・目録の各項)
神奈川県立川崎図書館の社史コレクション
神奈川県立川崎図書館は、会社史・経済団体史・労働組合史のコレクションを、開館当初から収集してきました。
重点分野である工学・産業技術関係資料を補う資料として、力を入れてきた分野です。
同業他社の社史を、実物で読み比べたいときの候補になります。
出典:かながわ県立図書館 川崎図書館「社史」(ページ本文の所蔵説明)
KISACHI.株式会社について
社史が会社の歩みを残す本だとすれば、経営者が自分の考えや経験を語って書籍にまとめる方法もあります。
KISACHI.株式会社は、教育研修(Training)、コンサルティング(Consulting)、出版(Publishing)の3つの事業を展開する会社です。
理念は「想像×創造で活力あふれる社会へ」です(KISACHI.株式会社の会社概要)。
出版事業では、最新AIで執筆負担を減らしながら、想いを語るだけで著者としてのブランディングを進める出版支援を行っています。
事業の詳細はKISACHI.株式会社の事業紹介をご覧ください。
社史についてよくある質問
Q1. 社史を分類記号で探す方法はありますか?
あります。
昭和44(1969)年以降に図書として整理された企業の社史には、国立国会図書館分類表の分類記号が付いています。
会社史は「DH22」、銀行史は「DF238」です。
国立国会図書館サーチの詳細検索で、この分類記号を刊行年代やキーワードと組み合わせて探せます。
出典:国立国会図書館 リサーチ・ナビ「社史について調べる」(国立国会図書館サーチで調べる・分類記号の説明)
Q2. 社史の制作費はいくらですか?
金額は一律には言えず、ページ数や部数などで変わり、具体額は見積もりで決まります。
東洋経済新報社の説明も、費用はページ数や部数などによって異なるという内容です。
見積もりを取るときは、ページ数と部数を先に決めておくと、複数社を比べやすくなります。
出典:東洋経済新報社 カスタム出版「社史」(担当者が知っておきたいポイント:費用・制作期間の節)
Q3. 神奈川県立川崎図書館の社史は誰でも閲覧できますか?
はい、閲覧室に公開されている資料は、どなたでも自由に書架から閲覧できます。
所蔵はおよそ2万2千冊(2026年10月時点)です。
開館日や利用条件は変わることがあるため、訪れる前に館の案内で確かめてください。
出典:かながわ県立図書館 川崎図書館「社史」(ページ本文の所蔵説明)
Q4. 社史の目次や年表から探せるデータベースはありますか?
あります。
公益財団法人渋沢栄一記念財団の「渋沢社史データベース」で、目次・索引・年表・資料編から検索できます。
収録は2026年3月13日現在で1,644冊です。
うち年表の掲載がある社史は1,205冊、索引の掲載がある社史は327冊です。
出典:渋沢社史データベース(トップページの説明と収録冊数の注記)
Q5. 社史の制作期間や費用は何によって変わりますか?
東洋経済新報社の説明では、社内資料の整理状況、過去に正史を作っているか、対象とする期間の長さによって、期間と費用が変わることがあります。
たとえば直近10年のように対象が短い期間の社史は、創業からの全史とは条件が変わります。
まとめ:社史は会社の歴史の記録。呼び名より目的を先に決める
社史は、会社の歴史をまとめた記録です。
記念誌や周年史との線引きは会社ごとに違うため、呼び名で迷うより、何のために作るのかを先に決めるほうが進みます。
形式は紙とデジタルから選べ、制作期間と費用は社内資料の状況や対象期間で変わります。
まずは目的を言葉にし、他社の社史を図書館やデータベースで読むところから始めましょう。
「話すだけで書籍が完成する」出版支援の詳細はこちらをご覧ください。

友部 貴幸(ともべ たかゆき)|KISACHI.株式会社 代表取締役
AI活用の出版戦略で、経営者の情報発信を支援しています。

