自費出版の費用は100冊でいくら?部数別の費用例と内訳を解説
100冊だけ作りたいのに、自費出版の費用は調べるほど幅が広く、いくら見ておけばよいのか迷いますよね? 金額が開く要因には、ページ数や部数があります。
印刷だけか、編集やデザインまで込みか、原稿作成も頼むかといった、含まれる作業の違いもその一つです。
本記事では3段階の違いと公式料金表の例、部数別の1冊あたりの費用と見積書の確認点を解説します。
目次
自費出版の費用は、同じ100冊でもなぜ大きく開くのか?3つのレベルで整理する

出版社の公式価格表を比べる前に、含まれる作業の範囲を3つのレベルに分けておきます。
価格表に並ぶ金額は、どのレベルの作業を含むかで読み方が変わるためです。
レベル1:原稿・データを自分で用意して印刷を頼む
本文と表紙のデータを自分で作り、印刷と製本だけを依頼します。
レベル1は、編集やデザインの作業を自分で担う前提の形です。
具体例は、1冊から印刷できるPODを扱う章で見ていきます。
レベル2:編集・デザイン込みの小規模パッケージ
完成した原稿を渡し、本文の組版(文字や図を本の形に配置する作業)、表紙のデザイン、校正などを出版社が請け負う形です。
パッケージに含まれる範囲は、社ごとに違います。
金額は次の章で、公式の料金表から見ます。
レベル3:原稿作成(ライティング)まで含めて依頼する
原稿がない人が、原稿作成を含めて依頼する形です。
レベル2の作業に加えて、文章を書く作業を頼むのがレベル3です。
金額は、原稿を書く時間がない場合を扱う章で整理します。
公式料金表で見る、100冊の費用例(税込表示の例を並べる)

同じ100冊でも、ページ数や部数、印刷方式、そして出版社ごとに含まれる作業が違えば金額は変わります。
比べる前に、仕様をそろえてください。
税込で公表している公式料金表の例
100部の行だけを抜くと、次のとおりです。
| 社名 | 仕様 | 100部の金額(税込) | 含まれるもの | 時点 |
|---|---|---|---|---|
| パレードブックス | 少部数タイプ・四六判・194〜200頁・ソフトカバー | 503,800円 | 本文はオンデマンドのモノクロ、表紙カバーはオンデマンドのカラー+PP貼り(表紙デザインはバリエーションから選択) | 公式サイトの価格表(2026年10月28日確認・版の表示なし) |
| 書籍づくり本舗 | 本文モノクロ・ソフトカバー・100頁 | 253,000円 | 印刷製本費、カバーデザイン、本文レイアウト、流通手数料、保管1年、管理料(原稿はWordデータで渡す前提) | 2025年9月改定の価格表 |
| 書籍づくり本舗 | 本文モノクロ・ソフトカバー・180頁 | 341,000円 | 同上 | 同上 |
安く見える金額でも、校正や流通が別料金なら総額は変わります。
まず含まれる作業の範囲をそろえてから見比べてください。
パレードブックスは判型・装丁ごとに価格表が分かれ、書籍づくり本舗は上製本とフルカラーを見積もり対応にしているほか、絵本・写真集は別の価格表です。
出典:パレードブックス「少部数タイプ価格表 文芸書(四六判)」(ソフトカバーの基本価格表)
出典:書籍づくり本舗「自費出版の価格表」(本文モノクロ・ソフトカバー 料金表)
税込・税別が混ざった見積もりを比べるときの手順
出版社によって、料金表が税込のところと税別のところがあります。
見積書を受け取ったら、まず税込か税別かを確認し、そろえてから総額を比べましょう。
税別の金額は、消費税を足して税込にそろえてから見比べます。
頁数、部数、判型、装丁といった仕様も、同じ条件にそろえてください。
10冊から1000冊まで、部数で1冊あたりの費用はどう変わる?

100冊が多いのか少ないのかは、部数を変えた表を見ると分かります。
同じ会社・同じ仕様の公式表だけを使って、1冊あたりを計算しました。
同じ仕様で部数を変えると、総額と1冊あたりはどうなるか
書籍づくり本舗の本文モノクロ・ソフトカバー・180頁(2025年9月改定・税込)の総額を、部数で割った本記事の計算です。
| 部数 | 総額(税込) | 1冊あたり |
|---|---|---|
| 10部 | 275,000円 | 27,500円 |
| 100部 | 341,000円 | 3,410円 |
| 200部 | 396,000円 | 1,980円 |
| 300部 | 561,000円 | 1,870円 |
| 500部 | 660,000円 | 1,320円 |
| 1,000部 | 902,000円 | 902円 |
この表の範囲では、部数が少ないほど1冊あたりは高くなります。
10部は1冊27,500円、100部は3,410円、1,000部は902円です。
出典:書籍づくり本舗「自費出版の価格表」(本文モノクロ・ソフトカバー 料金表)
300部を境に印刷方式が切り替わる(書籍づくり本舗の説明)
書籍づくり本舗は、300部を境に印刷方式が切り替わると説明しています。
299部まではオンデマンド印刷(注文に応じて少部数ずつ刷る方式)で、データから直接刷るため版費用は不要です。
300部以上はオフセット印刷(版を作って刷る方式)で、版を作るため、部数が増えるほど1冊あたりの単価が下がる仕組みです。
100部をどの印刷方式で刷るかは、見積もりで確認しましょう。
100冊の費用の内訳:編集・デザイン・印刷・流通で何を払うのか

基本価格に含まれる範囲は社ごとに違い、編集・校正や流通を別料金のオプションとして示している社があります。
内訳は3つのブロックで見ていきます。
編集・校正:誤字脱字の確認か、文章表現まで見るか
パレードブックスの校正は2段階です。
簡易校正プランの料金は1文字0.6円(税込)。
文章表現に手を加えず、誤字脱字だけをチェックします。
校正校閲プランは、1ページ(40文字×15行)880円(税込)からの参考価格で、要見積もりです。
同じ会社の中でも、誤字脱字だけを見るか、校閲まで頼むかで単価が違います。
出典:パレードブックス「編集オプション」(簡易校正プラン・校正校閲プラン)
表紙・本文組版・印刷・製本:金額に表れる条件と、別表になる条件
料金例の表と部数別の表で見たとおり、金額の違いとして読み取れるのは、頁数・部数と、含まれる作業の範囲です。
判型・装丁・色は、別の価格表や個別見積もりになる会社があります。
見積もりを取る前に、頁数と部数を決めておきましょう。
ISBN・書店流通・保管:見積もりに含まれるかを確認する
ISBN(書籍を識別する番号)、書店流通、保管が基本価格に含まれるかは、会社ごとに違います。
たとえばパレードブックスは、書店流通を有料オプションにしています。
出典:パレードブックス「書店流通オプション」(Amazonのみプラン・マックス流通プラン)
見積書で、どこまで含まれているかを確認しましょう。
原稿を書く時間がない場合、100冊の費用はどう変わる?

原稿がない場合は、ここまでの金額に原稿作成の費用が加わります。
自費出版の費用全体の目安と内訳は、親記事の「自費出版の費用相場はいくら?平均・目安と経営者向け内訳ガイド」で、ライターに頼む費用は「自費出版のライター費用を完全解説|相場・内訳・選び方ガイド」で扱っています。
原稿作成(ライティング・リライト)を依頼するときの費用の考え方
パレードブックスのライティングは、100ページ(約5万文字)で44万円からの参考価格です(税込・要見積もり)。
数回の取材をして構成や文体を提案しながら進める内容で、ライターの交通費は別です。
リライトは、同じ100ページで22万円からの参考価格です(税込・要見積もり)。
どちらも、料金例の表のような製作費に加わる別の費用です。
小説・芸術作品、医学書、現地調査を伴うものはライティングの対象外です。
出典:パレードブックス「編集オプション」(ライティング・リライトの参考価格)
「話すだけ」で書籍化する出版支援という選び方
原稿を書く時間がない場合は、文章づくりを誰が担うかを先に決めておくと、見積もりを比べやすくなります。
その選び方の一つが、KISACHI.の出版支援です。
話すだけで書籍化する方法は、「本が書けない経営者でも出版できる|話すだけで書籍化する方法と費用」で紹介しています。
「話すだけで書籍が完成する」出版支援の詳細はこちらをご覧ください。
1冊から作れるPOD(Amazon KDP)なら、100冊分の費用はどう計算する?

POD(プリント・オン・デマンド)は、注文のたびに1冊ずつ印刷する仕組みで、在庫を持たずに済む方法です。
レベル1の具体例は、Amazon KDPの計算式に100冊分を当てはめた次の例です。
印刷コストの計算式と、100冊分に当てはめた場合
印刷コストは「固定コスト+ページ数×1ページあたりの単価」で計算します。
Amazon.co.jpの標準判・黒インク(用紙はクリームまたは白)では、24〜110ページが1冊422円、110ページを超えると206円+1ページ2円です(2026年10月時点・税区分の記載なし)。
100ページなら422円×100冊で42,200円、200ページなら606円×100冊で60,600円です。
配送料は含みません。
この計算に含まれないもの:編集・校正・表紙デザインとデータ作成
この計算に入るのは、ページ数などの仕様から出る印刷コストだけです。
編集・校正・表紙デザインや、本文と表紙のデータ作成は入っていません。
編集・校正・デザイン・データ作成は、自分で用意するか、別に依頼することになります。
出典:Amazon KDPヘルプ「ペーパーバックの印刷コスト」(Amazon.co.jpの印刷コストの計算方法)
100冊を配る・売るなら、国立国会図書館への納本は必要?

頒布を目的に相当部数(通常100部以上)を発行する場合、発行者には国立国会図書館へ納本する義務があります。
100冊は、その基準に当てはまる部数です。
納本の義務は誰にあり、何部を、いつまでに納めるのか
義務を負うのは発行者で、著作者ではありません。
納めるのは1部で、期限は発行から30日以内です。
30日を過ぎても、納入は受け付けてもらえます。
ISBNやJANコードがなくても対象です。
納本を自分で出すのか会社が代行するのかは、見積書に書いてもらいましょう。
納本すると受け取れる代償金は、費用の回収にはならない
納本すると、通常は小売価格の5割と郵送の最低料金に相当する金額が、代償金として国から支払われます。
事前の申請が必要で、通常の自費出版物は100部刊行が基準です。
1部分の代償金なので、100冊の製作費の回収にはなりません。
必ず受け取れるものでもありません。
出典:国立国会図書館「企業・団体、個人からの納本」(納本の対象・義務者・代償金)
100冊の使い道を決める:配る場合と売る場合の必要冊数と回収額

100冊で足りるのか、売れたらいくら戻るのかは、使い道で変わります。
この章で示すのは、考え方と計算式です。
配る場合:配布先の数から必要冊数を数える
必要冊数は「配布先の数+予備+手元に残す分」で数えます。
名刺代わりに渡す相手、取引先、記念に贈る人を書き出し、自分の数を当てはめてください。
部数別の表の範囲では、部数が多いほど1冊あたりは下がりますが、余った分は保管することになります。
保管の期間と費用は、見積もりで確認しましょう。
売る場合:講演会・書店・Amazonで売るときの取り分
取り分は販売経路ごとに違うため、契約前に経路別の条件を確認してください。
書店に置けば売れる、とは限りません。
売り方は「自費出版で売る方法7選|経営者・士業のブランディング集客戦略」を、印税の仕組みは「自費出版の印税の仕組みを完全解説|売上還付金と経営者の選び方」をご覧ください。
100冊売れたときの回収額を試算する
以下はすべて仮の数字で、実在の統計や公式例ではありません。
- 仮に定価1,500円
- 仮に取り分率50%
- 仮に製作費30万円
回収額は「定価×販売冊数×取り分率」、差額は「回収額−製作費」です。
100冊すべて売れても、回収額は75,000円で、差額はマイナス225,000円です。
配布が目的なら、回収額よりも、名刺や信用づくりとして費用を考えます。
100冊の費用を抑える3つの調整点

見積もりで調整できる点を、仕様、作業の分担、流通と在庫の3つに絞ります。
仕様を調整する:頁数・部数・印刷方式と、別表になる仕様
費用を抑えるときに最初に動かせるのは、頁数と部数です。
原稿を整理して頁数帯を一段下げられないか、配る相手を数えて部数を絞れないかを考えてみてください。
判型や装丁、色を標準から変えたいときは、変更前に金額を聞いておくと後から慌てません。
仕様を決めてから、同じ条件で複数社に見積もりを頼みましょう。
作業の分担を調整する:データ入稿と校正の範囲
書籍づくり本舗の表は、原稿をWordデータで渡す前提です。
パレードブックスの簡易校正は、誤字脱字のチェックだけです。
どこまで自分で用意し、どこから頼むかを先に決めると、見積もりを同じ条件で比べられます。
流通と在庫を調整する:付ける範囲を用途に合わせる
配布が中心か、販売が中心かで、書店流通や保管を付けるかどうかが変わります。
用途を伝えたうえで、付ける範囲を見積もりで相談しましょう。
保管が何年分含まれるかも、あわせて聞いておいてください。
見積書を受け取ったら、100冊で別料金になりやすい項目を確認する

見積書では、金額より先に、何が含まれているかを確認します。
項目と理由は次の表のとおりです。
見積書で確認したい項目と、確認する理由
| 項目 | 何を確認するか | 確認する理由 |
|---|---|---|
| 基本価格に含まれる範囲 | 編集・組版・表紙・印刷・製本のどこまでか | 含まれる範囲は社ごとに違う |
| 税込か税別か | 総額が税込か税別か | 税区分が違うと、金額を比べられない |
| 頁数・部数・印刷方式の前提 | 見積もりの頁数・部数・印刷方式 | 前提が違うと、同じ100冊でも金額を比べられないため |
| 判型・装丁・色 | 別見積もりになっていないか | 別の価格表や個別見積もりになる会社がある |
| 校正の回数と範囲 | 誤字脱字だけか、校閲まで見るか | 同じ会社でも、プランで単価が違う |
| 原稿作成を頼む場合の範囲 | ライティングかリライトか、対象外の原稿でないか | 参考価格は要見積もりで、利用できない原稿もある |
| ISBNを誰が取るか | 見積もりに含まれるか | 会社によって、含まれるか別かが違う |
| 書店流通の有無と条件 | プランと、必要な初期在庫部数 | 条件が会社ごとに違う |
| 保管期間 | 何年分が含まれるか | 含まれる期間と、過ぎた後の扱いを確かめるため |
| 納本の代行 | 誰が納本するか | 自分で出すか代行を頼むかで、手間が変わるため |
| 増刷時の単価 | 追加で刷るときの単価 | 見積もりに書かれていない場合に、金額を比べられないため |
| 写真・カラーページ・納品送料 | 追加料金の有無 | 見積もりに書かれていない場合に、金額を比べられないため |
| 「一式」と書かれた項目 | 中身の内訳 | 見積もりに書かれていない場合に、金額を比べられないため |
契約前に決めておくこと:用途・予算の上限・納期の希望
契約前に決めておくのは、用途、予算の上限、納期の希望の3点です。
納期は会社ごとに違うので、希望日があれば見積もり依頼のときに伝えます。
比べるのは、先に用途と任せる範囲を決め、その条件で仕様と税区分をそろえた見積もりです。
申し込みから刊行までの流れは、「自費出版の流れと手順を完全解説|経営者・士業のブランディング7ステップ」で扱っています。
100冊の自費出版の費用についてよくある質問
Q1. 価格表にないページ数や部数で作りたい場合は、どうなりますか?
パレードブックスの少部数タイプの価格表に金額が載っているのは、掲載された頁数帯と30〜200部の組み合わせです。
表にない頁数や部数で作りたいときは、希望の仕様を伝えて見積もりを取ってください。
他社も表の範囲や扱いが違うので、同じように仕様を伝えて確かめます。
Q2. ページ数が増えると、100冊の費用はどう変わりますか?
同社の同じ仕様(少部数タイプ・四六判・ソフトカバー)では、頁数が増えると100部の金額も上がります。
50〜56頁は272,800円、90〜96頁は321,200円、250〜256頁は591,800円です(いずれも税込)。
他社に当てはめず、その社の表で確認してください。
出典:パレードブックス「少部数タイプ価格表 文芸書(四六判)」(ソフトカバーの基本価格表)
Q3. 100冊でも、書店流通を付けることはできますか?
パレードブックスの場合、Amazonのみプラン(原則30部)なら100冊でもAmazonで販売できますが、書店に並べるマックス流通プランは最低200部の初期在庫が条件です。
100冊だけの制作は、マックス流通プランの条件に届きません。
取次店(出版社と書店をつなぐ会社)が内容を審査し、配本部数を決めます。
出典:パレードブックス「書店流通オプション」(Amazonのみプラン・マックス流通プラン)
Q4. ホチキス留めの小冊子を100部作る場合も、納本は必要ですか?
ホチキス留めなどの簡易綴じは、納本の対象外とされています。
広く一般に公開することに支障があるものも、対象になりません。
小冊子を100部作る場合は、綴じ方を確認しましょう。
出典:国立国会図書館「企業・団体、個人からの納本」(納本の対象・義務者・代償金)
Q5. オンデマンドで少しずつ売る場合も、代償金は100部が基準ですか?
オンデマンド出版など、受注のたびに作る出版物は、15部が実際に頒布(販売)されたことが基準です。
100部が基準になるのは、通常の自費出版物です。
どちらの場合も、代償金は事前に申請して受け取ります。
出典:国立国会図書館「企業・団体、個人からの納本」(10:代償金支払いの対象となる出版物の基準/11:申請方法)
まとめ:同じ100冊でも、含まれる作業の範囲が違えば金額は変わる
自費出版の費用は、同じ100冊でも、印刷だけか、編集・デザイン込みか、原稿作成まで含むかで、中身が別物になります。
見積もりを比べるときは、税込か税別かをそろえ、仕様と含まれる作業を並べて見ましょう。
100部は納本の基準とも重なるため、用途から冊数を決めておくと迷いません。
まずは用途と仕様を決め、税区分をそろえた見積もりを取ってみてください。
「話すだけで書籍が完成する」出版支援の詳細はこちらをご覧ください。

友部 貴幸(ともべ たかゆき)|KISACHI.株式会社 代表取締役
AI活用の出版戦略で、経営者の情報発信を支援しています。

