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装丁とは?意味・読み方から誰が決めるのかまでわかりやすく解説

装丁とは、書物の表紙やカバーなどの体裁を整えることを指す言葉です。

著者として本を出す際、装丁がどこまでの範囲を指すのか、決定権が誰にあるのかで戸惑う人も見られます。

本記事のテーマは、装丁の意味や読み方、構成要素、出版形態による決定権の違いです。

読み終えるころには、自分の出版でどこまで装丁に関われるかを判断できるようになります。

目次

装丁とは?意味と読み方をわかりやすく解説

まず整理したいのは、装丁という言葉の意味と読み方、そして表記のゆれです。

辞書に載っている定義はいくつかあり、微妙にニュアンスが異なる部分もあります。

実務でどう使われているかも、あわせて確認するポイントの一つです。

装丁と似た言葉に「装本」があります。

この二つは指している範囲が少し異なり、装丁は見た目、装本は作り方全体に近い言葉として使い分けられるのが実情です。

両者の違いを押さえておくと、装丁家や出版社とのやり取りで誤解が生まれにくくなります。

装丁という言葉は、明治から昭和にかけて表記が移り変わってきた歴史も持っています。

もともとは「製本」に代わって「装釘」という中国風の熟字が使われ、その後「装幀」という書き方が広まったのが実情です。

1956年の国語審議会報告をきっかけに、「装丁」という表記が定着しました。

「装丁」「装幀」「装釘」のどれが正しいかという質問を受けることもありますが、これは歴史的な経緯から生まれた表記の違いであり、どれかが誤りというわけではありません。

読み方はいずれも「そうてい」です。

表記の違いを知っておくと、契約書や見積書でどの言葉が使われていても戸惑わずに済みます。

装丁の読み方と語源|「装丁」「装幀」「装釘」の違い

装丁は「そうてい」と読み、書物の表紙やとびら、カバーなどの体裁を整えることや、その意匠を指します。

「装丁」という表記は、1956年の国語審議会報告で定められたものです。

もとは「装幀」「装釘」という書き方もありました。

出版の打ち合わせで、当社も著者から「装丁と装幀はどちらが正しいのか」と聞かれることは珍しくありません。

出典:コトバンク「装丁」(デジタル大辞泉)

出典:コトバンク「装丁」(精選版日本国語大辞典)

装丁と装本の違い

デジタル大辞泉の補説では、装丁が書物の外側のデザインを意味するのに対し、装本はレイアウトや材料の選択、印刷方法、製本様式までを含む形式を意味すると説明されています。

装丁は「見た目」、装本は「作り方全体」に近い言葉だと捉えると分かりやすい整理です。

出典:コトバンク「装丁」(デジタル大辞泉)

装丁・装幀・装本・装画の意味の違いを整理した比較図

装丁が指す範囲|表紙・カバー・帯から見返しまで

装丁は「表紙のデザイン」だけを指す言葉だと思われがちですが、実際にはもっと広い範囲を含む言葉です。

ここでは、装丁を構成するパーツの名称、判型との関係、ISBN・書籍JANコードとの関係という3つの切り口から見ていきます。

まずは、装丁を構成する主なパーツを一覧で確認しましょう。

印刷会社や自費出版会社の技術解説をもとに、それぞれの役割と、著者側が希望を伝える余地があるかどうかを整理したのが、以下の表です。

なお、ISBNや書籍JANコードの表記は紙の書籍を前提とした仕組みです。

電子書籍など、光学機器に通す必要のない媒体には表記しません。

判型や識別コードの詳細は、後半の項目で改めて取り上げる予定です。

10のパーツすべてに、著者が自由に口を出せるわけではありません。

事前に把握しておきたいのは、どこまで希望を伝えられるかという線引きです。

特にカバーや帯のように印象を大きく左右する部分は、早めに方向性を伝えておくと打ち合わせがまとまりやすくなります。

パーツ内容著者側が希望を伝える余地
表紙(表1〜表4)タイトルが印刷される面(表1)、表紙の裏(表2)、裏表紙の裏(表3)、裏表紙(表4)の4面をまとめた呼び方表1のデザインは特に希望を伝えやすい面です
カバー表紙を覆うようにかけられる紙。本の印象を大きく左右する部分本の印象を左右するため、希望を伝える優先度が高い部分です
帯表紙の上に巻く細い紙。キャッチコピーや推薦文を書き添えるキャッチコピーの文言は著者の意向が反映されやすい部分です
そで(フラップ)カバーを内側に折り返した部分。著者紹介や内容の概略を書く場合がある著者紹介文の内容は、著者自身の希望を伝えやすい部分です
見返し表紙と本文用紙をつなぐ部分に接着される紙デザインの自由度は小さく、色味程度の希望にとどまることが多い部分です
扉表紙と見返しをめくった先にある、本のタイトルや著者名・出版社名が書かれたページ見出しの入れ方など、構成に関わる希望を伝えやすい部分です
背本を綴じてある部分で、本の背中にあたる外側タイトルの見え方に関わるため、書店での見え方を意識した希望を伝えやすい部分です
花ぎれ背の接着面に貼り付ける布。天と地の2箇所につく装飾的な要素のため、色の希望程度にとどまることが多い部分です
スピン花ぎれと背のあいだに糊付けされている布製のしおり。「しおり(スピン)」は日本特有の名称色の希望は伝えやすいものの、つけるかどうかの判断は出版社側に委ねられることが多い部分です
函(外函・外箱)本を保護するために作られる箱。装飾を目的として高級な板紙を使う場合もある作るかどうかも含め、出版社・制作会社側の判断に委ねられることが多い部分です

出典:イシダ印刷「花ぎれ、小口とは? 本の各部13の名称」

出典:イシダ印刷「冊子のページ構成|表紙・扉・白ページ・奥付・広告の役割と扱い方」

出典:株式会社アトランテ「本の部位 名称一覧…カバー・そで・表紙・見返し・扉」

出典:バンフー印刷用語集「外函、外箱」

装丁を構成する主なパーツ(表紙・カバー・帯・そで・見返し・扉・背・花ぎれ・スピン・函)

装丁を構成する主なパーツは、上の表の通り10種類です。

どこまでが「装丁」の範囲かを把握しておくと、装丁家への依頼内容を具体的に伝えやすくなります。

希望を伝えられる部分とそうでない部分があることも、あわせて押さえておきましょう。

装丁を構成する表紙・カバー・帯・そで・見返し・扉・背・花ぎれ・スピン・函の10パーツを本のイラストに吹き出しで示した図解

装丁と判型(本のサイズ)の関係

書籍の判型は、A5判・B6判・A6判(文庫判)、四六判、新書判など複数の種類です。

A5・B6・A6はJIS P0138「紙加工仕上寸法」で定められた規格ですが、四六判と新書判はJIS規格の対象外で、出版業界の慣用による判型です。

新書判は資料によって実寸の記載が異なるため、具体的な数値は出版科学研究所オンラインの情報で確認することをおすすめします。

出典:出版科学研究所オンライン「本の判型」

出典:JISポケットブック「紙加工仕上寸法(JIS P0138)」

装丁とISBN・書籍JANコードの関係

本の裏表紙や奥付には、「ISBN978-…」から始まる国際標準図書番号が印刷されています。

ISBNに日本独自の分類記号と価格記号を加えたものが日本図書コード、これを2段のバーコードにしたものが書籍JANコードで、出版物の最も外側となる裏表紙などに表記する決まりです。

配置の細かなルールは日本図書コード管理センターの手引きに定めがあり、当社が出版支援を行う中でも著者が見落としやすいポイントです。

出典:日本図書コード管理センター「ISBNとは」

出典:日本図書コード管理センター『ISBN・日本図書コード・書籍JANコード利用の手引き 2025年版』

装丁と装画・ブックデザイン・造本の違い

装画・装丁・ブックデザインの範囲を入れ子の同心円で示し、装画が装丁に、装丁がブックデザインに含まれる関係を表した図解

装丁とよく混同される言葉に、装画とブックデザイン(造本)があります。

どちらも装丁と近い場面で使われる言葉ですが、指している範囲は別物です。

言葉の違いを整理しておくことは、装丁家や編集者との打ち合わせで、どこまでの作業を依頼しているのかを正確に伝えるために欠かせません。

日常的な会話では、装丁と装画がまとめて「装丁」と呼ばれるのが実情です。

ただし、正確に依頼内容を伝えるためには、両者を区別して使う方が誤解が少なくなります。

同様に、ブックデザインという言葉も、装丁とほぼ同じ意味で使われることがあり、文脈によって指す範囲が変わる言葉の一つです。

特に見積書や契約書では、装丁・装画・ブックデザインのどれを指しているかが作業範囲の解釈に直結します。

言葉の意味を正しく理解しておくことは、想定外の作業漏れや認識のずれを防ぐための備えです。

装丁と装画の違い

装画は、装丁に使われる絵やイラストのことで、表紙やブックカバーに用いられます。

一方の装丁は、書籍のカバーだけでなく表紙や見返し、扉、外箱など、本の外側すべてのデザインを指す、より広い概念です。

つまり装画は、装丁を構成する要素の一つという位置づけになります。

発注する側として押さえておきたいのは、装画を誰が用意するのかという点です。

イラストレーターや写真家に別途依頼するのか、装丁家が手配まで引き受けるのかによって、見積もりの前提が変わってきます。

打ち合わせの場で「表紙のイラストはどなたが描かれますか」と一言確認しておきたいところです。

装画の担当者が決まらないまま進むと、入稿までのスケジュールも読みにくくなります。

装丁とブックデザイン(造本)の違い

「装丁」は書籍の外回りの表層に限定したデザインを指すのに対し、「ブックデザイン」(造本とも呼ぶ)は本文組版の体裁まで含めたトータルな製本作業を指しています。

装丁は「外側」、ブックデザインは「本全体の設計」に近い言葉です。

当社が見積書や打ち合わせに立ち会う中でも、装丁とブックデザインがどこまでの作業を指すかは相手によって解釈が異なり、想定とずれることがあります。

見積書に「ブックデザイン一式」とだけ書かれている場合、本文のレイアウトまで含むのか外側だけなのかは読み取りにくいところです。

発注の前に、本文組版が含まれるかどうかを文面で確認しておくと、認識のずれを避けやすくなります。

逆に「装丁のみ」という条件で依頼したのに本文のレイアウトも期待していた、という食い違いも起こりがちです。

言葉の定義そのものより、その見積もりで何がどこまで納品されるのかを一つずつ突き合わせるほうが確実です。

なぜ装丁が重要なのか|「ジャケ買い」を左右する第一印象

書店の棚に並ぶ→目に留まる→手に取る→中身を読む、という読者の流れの中で装丁が最初の接点になることを示した図解

装丁は、読者が本の中身を読む前に最初に触れる部分です。

ここでは、書店で本を手に取ってもらう読者側の視点と、経営者・著者側の視点の両方から、装丁の重要性を見ていきます。

「装丁が第一印象を決める」という考え方は、辞書の定義にも表れています。

装丁の定義には「体裁を整える」「意匠」という言葉が繰り返し登場しており、本の中身とは別に、見た目の印象を整えること自体が装丁の役割の一つです。

ただし、第一印象は装丁だけで決まるわけではありません。

タイトルや帯のコピーとの組み合わせで作られる部分も大きいため、装丁を検討する際はタイトルや訴求文言もあわせて考えておきたいところです。

読者・書店で本を手に取ってもらうための第一印象

書店の棚に並ぶ本は、まず表紙やカバーのデザインが目に留まり、そこから手に取るかどうかが決まります。

装丁は、読者との最初の接点になるという位置づけを持つ言葉です。

中身がどれだけよくても、手に取ってもらえなければ内容は届かないままです。

経営者・著者にとって装丁が持つ意味|ブランディングの入口

経営者や士業が本を出す場合、装丁は本の中身以前に読者が最初に触れる会社や個人のブランド表現にもなります。

装丁の印象は、著者自身や事業への信頼感を支える土台の一つです。

当社が支援してきた経営者の中にも、装丁の方向性で迷う方は少なくありません。

ただし、装丁だけで売上や集客の成果が決まるわけではない点は、あわせて押さえておきましょう。

装丁への印象は、次の本を手に取ってもらえるかどうかにも関わる要素です。

だからこそ装丁は、見た目の飾りではなく、読者との最初の接点をどう設計するかという工程として捉えておきたい部分です。

装丁は誰が決めるのか|編集者・装丁家・著者の役割分担

編集者が方針を決め装丁家が案を作り著者が意見を伝えるという一般的な役割分担と、公式な規定は確認できていない旨を併記した図解

装丁の決定プロセスについて、公式に一義的なルールが定められているわけではありません。

ここで整理するのは、確認できる範囲の情報と、著者としてどこまで意見を言えるのかという線引きです。

装丁家の職業紹介サイトや冊子製本会社の解説記事には、編集者が方針を決め、デザイナーが具体案を作るという説明が複数見られます。

ただし、業界団体による公式な役割規定までは確認できておらず、本記事では断定を避けた紹介です。

著者が装丁について意見を伝えられるタイミングとしては、企画の初期段階、初稿ラフの提示時、色校正の確認時などが挙げられます。

ラフ案が出た段階で違和感を伝えるのと、印刷直前に伝えるのとでは、反映できる範囲が大きく変わります。

早い段階で希望を言語化しておくほど、装丁家側も具体案に反映しやすいのが実情です。

特に商業出版では、編集会議を経てから著者に共有される場合も多く、著者が目にする段階では、すでに方向性が固まっていることも珍しくありません。

早い段階で「こういう雰囲気にしたい」と伝えておくことが、希望を反映してもらう近道です。

一般的な装丁決定プロセス

装丁の決定プロセスについて、業界団体などによる公式な規定は確認できていません。

一般には、編集者が中心となって進めることが多く、最終的な採否は出版社側にあるケースが一般的です。

ただし、これはあくまで実務上の傾向であり、契約形態によって関わり方は変わります。

著者はどこまで意見を言えるのか

著者がどこまで装丁に意見を言えるかは、商業出版か企業出版か自費出版かという契約形態による違いです。

一律の答えはなく、出版形態ごとの傾向を踏まえて確認することが欠かせません。

初稿の色校正やラフ案の提示時に感想を求められる場面が多く、そこが具体的な希望を伝えるタイミングです。

当社の出版支援の現場でも、著者から装丁への関わり方についてよく質問を受けます。

商業出版・企業出版・自費出版で装丁の決定権はどう変わるか

出版形態によって、装丁への関わり方も変わるのが実情です。

当社が企業出版・自費出版を支援する中でも、「装丁まで自分で決められるとは知らなかった」という著者の声が少なくありません。

ここで取り上げるのは、商業出版・企業出版・自費出版それぞれの傾向です。

なお、以下はあくまで一般的な傾向であり、出版社や制作会社ごとに進め方は異なります。

実際の進め方は、契約段階で担当者に確認しておくとスムーズです。

自費出版では、ラフ案の初期段階から色味やイラストの希望を細かく伝えられる進め方も多く見られます。

商業出版では、初稿の色校正やゲラの確認時に意見を求められる場面が中心になりやすいのが実情です。

経営者や士業が出版する場合、装丁への関わり方を事前に知っておくことは、出版形態を選ぶ判断材料の一つにもなります。

装丁までこだわりたい方は、著者の意向が反映されやすい出版形態を選ぶという考え方も一つの目安です。

出版形態装丁の決定権の傾向
商業出版出版社・編集者側の判断が優先されやすい
企業出版著者(企業)側の意向が反映されやすい
自費出版著者本人の意向が反映されやすい

商業出版の場合|出版社主導になりやすい理由

商業出版では、出版社が印刷や流通の費用を負担するため、装丁も含めて出版社側の判断が優先されやすい傾向があります。

ただし、これは費用とリスクをどちらが負うかという構造から生じる傾向であり、実際の進め方は出版社ごとに異なるのが実情です。

商業出版と企業出版の違いについては、商業出版と企業出版の違いを徹底解説|経営者の出版戦略で詳しく解説しています。

企業出版・自費出版の場合|著者の意向が反映されやすい理由

企業出版や自費出版では、著者自身が費用を負担する形が中心となるため、装丁についても著者の意向が反映されやすくなります。

出版形態ごとの違いは、商業出版と自費出版の違いとは?費用・メリット・選び方や本の出版方法を完全比較|商業出版・自費出版・電子出版・出版プロデュースの違いで解説している通りです。

商業出版・企業出版・自費出版で装丁の決定権が編集者主導寄りから著者主導寄りへ変わる傾向を示した比較図

「話すだけで書籍が完成する」出版支援の詳細はこちらをご覧ください。

KISACHI.の出版支援サービス

装丁家(ブックデザイナー)とは|仕事内容

装丁家が表紙・カバーのデザインに加えて判型の選定・用紙の選定・製本方式の提案まで担うことを示した図解

装丁を実際に手がける専門職が装丁家(ブックデザイナー)です。

ここでは、装丁家の主な仕事内容と、製本方式によって作業範囲がどう変わるかを見ていきます。

装丁家がどこまでを担当するかは、出版社や制作会社との契約によっても変わります。

出版全体の支援体制については「出版サポートとは?本づくりの支援内容と依頼先の選び方」でも触れているので、あわせて確認しておくと依頼範囲を把握しやすくなります。

依頼する側としては、まず一般的な仕事範囲を押さえておくと、打ち合わせでの認識ずれを防ぎやすいのが実情です。

装丁家は単独で作業を進めるわけではなく、編集者や印刷会社の担当者と連携しながら形にしていくのが一般的です。

分業の形も、契約する出版社や制作会社によって少しずつ異なります。

複数の書籍を出版する経営者・士業の方の場合、同じ装丁家と継続して仕事を進めるケースも見られます。

継続することで、著者の好みや事業のブランドイメージを装丁家が理解しやすくなるのが利点です。

一方で、装丁家を著者が指名できるかどうかは、出版形態や契約内容によって変わります。

商業出版では出版社側が起用するデザイナーを決めることが多く、著者の希望が必ず通るとは限りません。

希望する装丁家がいる場合は、企画の段階で相談しておくのが現実的な進め方です。

契約が固まったあとに指名を持ち出しても、スケジュールや予算の都合で反映が難しくなることがあります。

装丁家の主な仕事

装丁家(ブックデザイナー)は、表紙やカバーのデザインを手がける専門職です。

デザインだけでなく、判型や用紙の選定、製本方式の提案まで担うことも多く、本づくり全体に関わる役割を担います。

著者や編集者の意向を形にする、いわば本の「顔」づくりです。

上製本・並製本で変わる装丁の作業範囲

製本方式には、厚紙や布、皮などを表紙に使う上製本(ハードカバー)と、柔軟な用紙を使う並製本(ソフトカバー)があります。

上製本は図鑑やアルバムなど長期保存向けに使われることが多く、並製本は上製本より材料費や工程を抑えやすいのが特徴です。

綴じ方も、中綴じ・無線綴じ・糸かがり綴じなど複数あり、当社の支援先でも、製本方式の希望を早めに装丁家へ伝えておくと打ち合わせがスムーズです。

装丁を依頼する・希望を伝えるときに準備すべきこと

装丁を依頼する前に準備したい出版の目的・ターゲット読者・伝えたいメッセージ・好みのデザインテイスト・納品データの形式の5項目を示した図解

装丁家に希望を伝えるときは、事前の準備が打ち合わせのスムーズさを左右します。

準備しておきたい情報と、出版形態ごとの違いを整理します。

装丁の打ち合わせがどのタイミングで発生するかは、「本が出版されるまでの流れ|企画から流通までの工程と期間」で紹介している出版全体の工程と照らし合わせると把握しやすいのが実情です。

思いつきのイメージだけを伝えても、装丁家側は具体案を作りにくいものです。

あらかじめ言語化しておくことで、やり取りの回数を減らせる場合もあります。

準備する項目に迷ったときは、「誰に」「何を伝えたくて」「読んだ人にどう動いてほしいか」を軸に考えると整理しやすくなります。

装丁のテイストも、この軸から逆算して決めていく進め方が実務では一般的です。

参考になる書籍を数冊挙げておくのも有効な準備です。

「こういう雰囲気にしたい」を言葉だけで伝えるより、実物を示すほうが認識のずれは小さくなります。

逆に「これは避けたい」という例も一緒に伝えておくと、方向性の絞り込みが早く進むはずです。

好みを言語化しにくい場合でも、避けたい方向なら挙げやすいという方は多いものです。

準備しておきたい項目と、それぞれの狙い、準備を怠った場合に起こりやすいことを整理すると、以下のようになります。

準備しておきたい情報なぜ必要か準備しないと起こりやすいこと
出版の目的装丁の方向性(信頼感重視か、親しみやすさ重視か等)を決める土台になるため装丁家がテイストを絞り込めず、案がぼやけやすくなります
ターゲット読者手に取ってほしい読者層に響く見た目を検討する材料になるため誰向けか分からない、当たり障りのない装丁になりやすくなります
伝えたいメッセージタイトルや帯のコピーの方向性を決める材料になるため装丁と中身の印象がちぐはぐになりやすくなります
好みのデザインテイスト参考書籍や色味のイメージをすり合わせる材料になるため案の修正回数が増え、打ち合わせが長引きやすくなります
納品データの形式印刷・製本の工程に関わる仕様を先に共有するため後工程での差し戻しやスケジュールのずれが起きやすくなります

準備しておきたい情報(出版目的・ターゲット読者・伝えたいメッセージ・デザインテイスト・納品データ形式など)

装丁の打ち合わせ前には、上の表にある情報を整理しておくと、進行がスムーズです。

これらは出版企画書に書く内容とも重なるため、あわせて準備しておくと効率的です。

企画書の作り方は出版企画書とは?採用される書き方・構成・テンプレートで解説しています。

出版形態によって準備すべきことの違い

出版形態によっても、準備しておきたい内容の重心は変わります。

商業出版では出版社への説明材料としての情報整理が中心になり、企業出版・自費出版では著者自身の希望を具体化することが中心です。

当社の支援先でも、事前準備が不十分なまま打ち合わせに入り、装丁の方向性を決めるまでに時間がかかった例があります。

装丁とはについてよくある質問

装丁について、よく寄せられる質問にお答えします。

意味や読み方から、決定権や装丁家の仕事内容まで、ここまでの内容を短くまとめたものです。

Q1. 装丁とはどういう意味ですか?読み方も教えてください

装丁は「そうてい」と読み、書物などを綴じて表装すること、また表紙や見返し、とびらなどの体裁をつくり外形を整えることやその意匠を指す言葉です。

「装本」も近い言葉として使われますが、装丁が本の「見た目」を指すのに対し、装本はレイアウトや製本様式まで含む「作り方全体」を指すという違いがあります。

Q2. 装丁と装画・ブックデザインの違いは何ですか?

装画は装丁に使われる絵やイラストを指す言葉で、装丁を構成する要素の一つです。

ブックデザイン(造本)は、本文組版の体裁まで含めたトータルな製本作業を指し、装丁より広い範囲を扱う言葉です。

Q3. 装丁は誰が決めるのですか?著者はどこまで意見を言えますか?

装丁の決定について、公式に一義的なルールが定められているという情報は確認できていません。

一般には編集者が中心となって進め、最終的な採否は出版社側にあるケースが多いとされますが、著者の関与度は契約形態によって大きく変わります。

Q4. 装丁家(ブックデザイナー)とはどんな仕事ですか?

装丁家(ブックデザイナー)は、書籍の表紙やカバーのデザインを手がける専門職です。

判型や用紙の選定、製本方式の提案まで担うこともあり、本づくり全体に関わる役割を担います。

Q5. 商業出版・企業出版・自費出版で装丁の決め方はどう違いますか?

商業出版では、出版社が費用やリスクを負う分、装丁も出版社側の判断が優先されやすい傾向があります。

一方、企業出版・自費出版では著者自身が費用を負担することが多く、装丁への意向も反映されやすいのが実情です。

詳しい傾向は本文の「商業出版・企業出版・自費出版で装丁の決定権はどう変わるか」で解説しています。

まとめ:装丁の役割と決定プロセスを押さえて出版の打ち合わせに備えよう

装丁とは、表紙やカバーをはじめとする本の外側全体のデザインを指す言葉です。

著者がどこまで関与できるかは、契約する出版形態によって変わります。

装丁が指す範囲は表紙やカバーなど10のパーツに及び、決定プロセスは編集者主導になりやすい一方、商業出版・企業出版・自費出版で著者の関与度は異なります。

装丁家に希望を伝える際は、初期の打ち合わせやラフ案の確認時に意見を伝えると反映されやすいのが実情です。

まずは、自分が選ぶ出版形態でどこまで装丁に関われるかを確認してみましょう。

自社の出版でどこまで装丁に関われるかも含めて相談したい方は、KISACHI.の出版支援サービスをご覧ください。

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友部 貴幸(ともべ たかゆき)|KISACHI.株式会社 代表取締役

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